FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

初恋

高校に入り教室に入ってすぐに、
彼は私の興味を全て根こそぎもっていきました。

彼は机につっぷして、誰とも喋りたくなさそうにうずくまり、
自己紹介を促されたときも、渋々立ち上がって名前だけをいうと、
すぐにまた元の姿勢に戻りました。
休み時間も、長い昼休みも。
明くる日も、そのまたあくる日も。

もう、何を考えているのか知りたくて知りたくて、たまらなかった私は、
彼が写真部に入部したと聞き、速攻で入部届けを出す始末。

写真部でも彼は一人暗室にとじこもりきりで、
誰とも話して仲良くなろうとしません。

でもそんな彼になぜか私は孤高の美を見出してしまって、
もうどうにも止まらない。

ある日暗室で放課後ずっと待ち、やっと二人きりで暗室に。
現像も何も出来ない私は、
彼のあらゆる仕草を赤いランプの中で、目を凝らして見つめています。

彼が一枚の写真を現像液の中に浸しましたが、何もでてきません。
そのうち、それを放って他の写真にとりかかったので、
私は彼に「何が映っているの?」と答えも期待せずに問いかけました。
「雪原の白兎」と答えが返ってきて、私は逆に驚きました。

それで彼が暗室を出て行った後も、雪原の白兎を見るために、
現像液の中で揺らせ続けました。
するとしばらくして彼がもどってきたので、彼に言いました。
「何もでてこない・・・」
「・・・可愛いね」
そう言ってまた彼はどこかに行ってしまい、
その日はもう帰ってしまったようでした。

そこで私は気が付きました。
「雪原の白兎」って「闇夜のカラス」の逆じゃん!
そう、真っ白な印画紙は、何も映っていないフィルムだったのです。

でも彼の声が聞けたこととで、これは!!もしかしたら行けるかもしれないと私は思いました。
なぜか「可愛い」と言われたことは、そう嬉しくなくて、むしろからかわれているか、
馬鹿にされているのだろうと思いましたが、
私の中では、彼は孤高の人、俗人な私など歯牙にかけなくて当然と、
考えました。

あくる日から、私は超広大な計画を練りました。
題して「友達から始めよう作戦」、
とにかく友達が一人もいない彼の唯一の友達になれれば、
彼女になる日も近いと、お馬鹿な私は考え、
まずは毎休み時間に一つだけ質問に、彼の机の所にいくことにしました。

「誕生日は?」
「血液型は?」
「お父さんの名前は?」

もうしらみつぶしのプロフィール集めです。
それを十ヵ月続けたら、
ある日彼は京都に一人で撮影旅行にいった際のお土産といって、
お守りをくれました。

おおお、これは!旅行に行って私のことを考えてくれるとはもうかなり!
と思うや否や、彼は横浜に一緒に写真を撮りにいかないか?と
誘ってきました。
もう心の中は、なにかいけないものが舞い上がってます。

それから度々誘われ、デートらしい撮影旅行をしましたが、
「これってつきあってる?」と聞けるまで
私にはあと2年と6ヶ月必要でした。

つき合ってる事が証明されるころには、もう高校卒業となり、
二人で話し合って、担任に将来仲人になってくれと言いにいきました。

大学は別のところに行っていましたが、ほぼ毎日待ち合わせては、
喫茶店でおしゃべりをしていました。
ある日彼はバイトして貯めたお金で、婚約指輪を買ってきました。

しかしなんと二人は恐ろしい事に、まだプラトニックだったのです。
手を繋ぎはしたものの。
キスすらしたことがない。なのに婚約している。
私は苦悩しました。このままいくとやっぱり、結婚してからになりそうだと。

しかし私は彼と出会う前に経験があったりしたのです。
ああー恐ろしい、このままだと必ず彼は処女を期待している。

結婚する前に発覚して、それなら嫌だというんならそれでも構いませんが、
結婚されてから発覚したんでは、私が騙したかのようです。

大学1年の夏休み、私はある計画を実行することにしました。
題して「かならず性関係もつぞ作戦」

この計画のために私は綿密にある台本を用意しました。
その台本は、恋人同士の二人がはじめてキスをして、深い関係になる
話ですが、いろいろ小細工を弄して、それは散りばめられており、
ぱっと見には、それが目的の台本には見えないようにしてあります。

そう、それを読み合わせてもらえば、
なんとなく変な空気が二人に流れて、
かならずや!

そしてまた恐ろしい事に、その試みは成功してしまうのです。
行為を終えて、私は成功感に満ち溢れていたときに、
かれは言いました。「もういちど、していい?」

そこで何かが私の中で、音を立てて崩れました。
駄目です、孤高の人はそんな台詞を言ってはいけないのです。
もっとも気になったのは「していい?」の部分です。

これは後年になっても、何ともいえない違和感として残っているのですが
「抱いていい?」ともし、言ってくれてたなら、何かが変わったはず。
「していい?」じゃだめなんです!

そこで私は、私が恋し焦がれていたのは現実の目の前の彼ではなく、
自分の中に造り続けた彼の幻像だったことに気が付いてしまったのです。
こうして恋は終わりました。

酷い話ですが、一方的に婚約を破棄し、
多分彼には相当恨まれたことでしょう。

それでも数年後もういちどだけ、という彼の望みをかなえて、
付き合いなおし、合計7年以上付き合ったのですが、
私はあの時に、恋を失って以降は、
恋することができなくなっていたのです。

それでも今でも週に一度以上は彼の夢を見ます。
夢の中の私は、彼にくびったけです。
いつもどうやって振り向いてもらおうか考えていたり、
酷いことをしてごめんなさい、でも愛していると叫んでいたりします。




end.
スポンサーサイト

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめtyaiました【初恋】

高校に入り教室に入ってすぐに、彼は私の興味を全て根こそぎもっていきました。彼は机につっぷして、誰とも喋りたくなさそうにうずくまり、自己紹介を促されたときも、渋々立ち上がって名前だけをいうと、すぐにまた元の姿勢に戻りました。休み時間も、長い昼休みも。明く...

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
検索フォーム
カテゴリ
最新記事
アンケート
月別アーカイブ
お名前.com
リンク
RSSリンクの表示
google
MicroAD
ninja
忍者アド
広がるブログ
blomotion
サンプル・イベント・モニターならBloMotion
プレスブログ
[プレスブログ]価値あるブログに換金可能なポイントを差し上げます。
wadax
ブログ村
フリーエリア
人気ブログランキングへ
ブログランキングドットネット
リンクリックブログランキング
フリーエリア
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

AMAZON
カラーミーショップ
ブログ広告
ブログ広告ならブログ広告.com
ぐるなび
中古DVD
QRコード
QR
SEO
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。